シニア犬・老犬の床ずれ

シニア犬・老犬の床ずれ

キュティア老犬クリニックには床ずれの治療に通院しているワンちゃんがいますが、中には寝たきりなのに床ずれひとつ出来ていないコもいます。床ずれは一度かかると再発しやすいやっかいな病気ですし、辛い思いをするのはワンちゃんです。愛犬が寝たきりになったら床ずれの予防と正しいケアをしてあげましょう。

老犬が寝たきりになると床ずれになりやすくなります

キュティア老犬クリニックはシニア犬・老犬の緩和ケア・介護医療を専門とした動物病院です。今まで多くの床ずれの治療にあたってきました。

元気に歩いていた愛犬がしだいに歩行がおぼつくかなり、寝たきりになることの心配が出てくると、飼い主さんに床ずれ防止のアドバイスをさせていいただきます。とくにお家での寝床の状態などが大事なポイントとなります。

また、すでに寝たきりになってしまったため進行した床ずれの治療に来院する患者さんもいらっしゃいます。

寝たきりになると血行不良により、皮膚の一部が壊死して床ずれがおこりやすくなります。床ずれは一度なると再発するやっかいな病気です。床ずれを防ぐためには、時間のインターバルを決め適時寝返りをうたせてあげることも必要になります。

  

床ずれ防止マットなどの活用

寝たきりの状態が続くようでしたら、早めに低反発素材の「床ずれ防止マット」や、中にビーズの入った柔らかい「床ずれ防止クッション」使うようにします。

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写真はキュティアショップで販売している床ずれ防止用品です。
https://www.cutiashop.jp/shopbrand/011/X/

これらの床ずれ防止用品は、寝たきりの状態でなくても利用価値がとても高い用品です。愛犬の体重がかかっても沈み込みが少なく、体圧をしっかり分散し効果的に床ずれを予防します。また、カバーの表面はウレタンラミネートを使用しているため、防水効果がとても高く、お手入れはカバーを拭くだけで十分です。

愛犬たちにとっても使い心地がとても良いようで、元気なシニアの時から自分の寝床として使っているワンちゃんも多くいます。

では、床ずれについて詳しく考えてみましょう。

床ずれについて

床ずれってどんなこと?

床ずれは寝たきりの状態が続き、体重のかかる部分の皮膚がながい間寝具に圧迫されることで血行が悪くなり、皮膚表面の組織が壊死したもので、褥瘡(じょくそう)ともいいます。

寝たきりのシニア犬・老犬だけに限らず、若くても身体が不自由なために寝たきりの犬にも起こりやすい 症状です。

床ずれは表面からみえない内部組織での発生初期には肉眼では確認できないため、処置が遅れ傷の状態が進行してしまっていることがあります。

寝たきりになると、疾患をかかえていたり、運動量が低下することで食事量もおちてきます。

痩せていき骨が出っ張りやすくなります。特に骨が出っ張っている部分(ほお、肩、腰、前足首、後足首など)は寝床と接しているため、皮膚に身体の重みがかかってで圧迫され、血液の流れが悪くなり床ずれが出来やすくなります。

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症状はどんな?

初期は皮膚が赤くなったり、薄くなって痒みや痛みを伴います。また水ぶくれの様なものができ、破けてジュクジュクした傷になります。

症状がすすむと炎症が皮下組織にも至り骨や関節を壊してしまうこともあります。皮膚に穴が開いたように見えますが、皮膚の下がさらに大きく広がっている場合もあります。

表面は分泌液で湿っていて、そこに細菌感染がおきると膿が出てくることもあります。

体力が落ちている場合には、床ずれから細菌感染を引き起こして、命に関わる場合もあります。

なんといっても予防が大切です

床ずれは一度できると再発しやすく完治するにも時間を要します。床ずれが起きやい部分と寝床との圧迫を、できるかぎり減らしあげることが発症させない一番の予防になります。

毎日注意深く愛犬の皮膚の状態を観察する習慣をつけましょう。寝返りやマッサージの時などに床ずれができやすい部分をチェックすると良いでしょう。2~3時間おきに体位変換をして、圧迫される部分が集中しないようにする必要があります。また、寝具や生活する場所の通気性などにも気をつけてあげたいものです。

床ずれになってしまったら

床ずれになったと思ったら、症状が悪化しないためにもなるべく早く動物病院に連れて行きます。傷口を清潔にし圧迫がかからないように処置することで回復に向かいます。

壊死している部分を取り除き、細菌感染の有無を調べるためにも、まずは獣医師の診察・治療を受けてから、自宅での手当てのしかたなどを教えてもらいましょう。

寝たきりでおむつを使用している場合は、こまめに交換して排泄物で皮膚が汚れたままの状態にならないよう清潔に保ってあげることが大切です。

自宅でのケア方法-寝返りの打たせ方

寝かせた状態のまま背中だけ持ち上げて寝返りさせるのは内臓に負担がかかってしまいます。

・一度だきあげて上体をおこしてから反対側を向かせましょう
・犬の背中側にまわり、片手は犬の肩下に差し入れます
・もう一方の手では犬の両肢を持ち、肩と腰の部分を支えてお腹が下を向くよう身体をおこします
・伏せをするようなポーズになります
マットレスなどの上に犬のお尻から下ろし、身体をしっかり支えながらゆっくりと全身を反対の向きに寝かせます。

自宅でのケア方法-手作りパット

床ずれ部位の周囲の毛は汚れの原因となるため、動物病院ではバリカンで刈ってしまいます。

床ずれの治療は床ずれ部位を乾燥させないことが重要になります。傷口を乾燥させてしまうと痛みがでる こともありますし組織の再生も妨げてしまいます。

皮膚の再生には分泌液でうるおっていることが重要になるので、出てくる分泌液はそのままにしておき、床ずれの部分をパットでやさしくおおうようにします。

参考までに、キュティア老犬クリニックで使用している床ずれ部位を保護するための手作りパットをご紹介します。

用意するものは
・人用の母乳パット
・小さい穴が開いている水切り袋
・両面テープ
・テープ絆創膏
です。

作り方は簡単です。以下の写真で説明していますので参考にしてください。

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自宅でのケア方法-手作りパットの使い方

手作りパットで床ずれ部位を覆い、関節や骨の出っ張っている部分にテープ絆創膏で張ります。

床ずれの保護が目的の場合は毎日1回は交換してあげます。床ずれ部位がグジュグジュしているような場合は、1日2回を目安に交換します。

床ずれが膿んでいなければ、床ずれ部分を銀イオン水を入れた霧吹きで吹きかけて保湿状態にしてあげましょう。

銀イオン水は普通の水道水より除菌効果も高いのでおすすめしますが、人肌程度のお湯でも代用できます。

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その上に手作りパットをかぶせテープ絆創膏でとめておくようにします。

床ずれが膿んでいる場合は動物病院での処置が必要となりますので気をつましょう。

幸せ老犬ライフチェック

話すことのできない、意志をうまく表示できないワンちゃんはその痛さにじーっと我慢するだけ。

飼い主さんのちょっとした注意とケアで、寝たきりのワンちゃんも床ずれ知らずで過ごさせてあげたいですね。

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