マイボーム腺の働き
愛犬が歳をとってきてから目の傷や涙焼け、イボ等のトラブルが起きるようになってきてはいませんか?じつはそれ、マイボーム腺という、油を分泌する器官の衰えが大きく関わっているのです。
目を保護する為の「涙」は、水とムチンの層の上を油が覆うことからなる3層構造で構成されています。この油の層は、水分の蒸発を防いだり、目の外に流れ出るのを防いだりしているのです。
その大切な油を分泌するマイボーム腺が加齢により数が減少し、押し出す機能の低下でつまりやすくなってしまうことで、ドライアイによる傷や感染症・変性症等の角膜トラブルが起きたり、マイボーム腺腫というイボができたりしてしまうのです。
油の分泌を良くする2つの方法
その為、マイボーム腺の油詰まりを改善しないで、ドライアイを改善する為に人工涙液(=水分)だけを点眼したり、イボに軟膏を塗ったりしてもトラブルを繰り返してしまうことになってしまいます。
マイボーム腺の機能を回復させて、油の分泌を促すのに必要なのが「温罨法(おんあんぽう)」と「まばたきマッサージ」です。
温罨法
「温罨法」はレンジで40度に温めた小豆カイロやホットアイマスクを1日2回、1回につき3分程目の上に載せて温める方法です。これにより、油が溶けて分泌されやすくなります。お湯で作ったホットタオルの方が簡単そうですが、1分程で冷めるだけでなく、帰化熱でかって冷やしてしまうリスクもあるので適していません。
まばたきマッサージ
「まばたきマッサージ」はおでこと頬に手を乗せて上下に動かす。もしくは、おでこから頭の部分に手を乗せて、前に向かってナデナデしてあげることで、パチパチとまばたきの動きをさせる方法です。
まばたきマッサージと温罨法を組み合わせて行うのが理想ですが、目の周りを触られるが苦手だったり、じっとしていられないコの場合、まばたきマッサージだけでもこまめに生活に取り入れていただけるだけでも、それなりに効果はあります。
このマイボーム腺ケアは、シニア犬・老犬だけでなく、若くても、涙焼けトラブルを持っているコにもおすすめです。ぜひ試してみてください。
それではハッピードッグライフ♪
獣医師 横山恵理