こんにちは 獣医師の佐々木です♪
あっという間に1月も過ぎ去り
2月になってしまいました。
暦の上では立春
つまり春の始まりです。
1年の中で最も寒い時期は
越したということです。
冬は五行でいうと「腎」の季節
足腰の痛みが出やすかったり
シニア犬・老犬にとっては
体調を崩しやすい季節です。
キュティアにも急患のワンちゃんが
たくさんいらっしゃいました。
「調子が良かったからしばらく
お休みしていたけど
また痛みが出てきてしまいました」
というコもちらほら。
冬を越したからもう大丈夫!
というわけにはいきません。
ようやく「腎」の季節は過ぎ去りますが
今度は「肝」の季節がやってきます。
この腎と肝は
親子関係と呼ばれ密接なつながりで
互いに影響しています。
この話をすると
長くなってしまうのでさておき
今回は
まさにこの「肝と腎」の問題を抱えている
わんちゃんのご紹介をしたいと思います。
15才トイ・プードルのヒーセくん
4歳ころからずっと肝臓の数値が悪く
病院で処方される療法食を食べていました。
肝臓は体内の様々な物質を代謝したり
解毒をしてくれる臓器です。
そのため
肝臓が悪いとアンモニアなどの
有害物質が解毒されずに
体内に蓄積されてしまい
肝性脳症という重篤な症状を引き起こします。
ヒーセくんも
約4年前に肝性脳症で
神経発作を起こし倒れてしまいました。
その後もなんとか維持してきたものの
一昨年の秋頃から食欲が落ち始めて
元々2.6kgしかなかった体重が
1.6kgにまで減ってしまいました。
そんなヒーセくんが
キュティアに来院したのは去年の6月。
若い頃からずっと肝臓用の
低蛋白の療法食を食べていたこともあり
筋肉はほとんどなく
背骨は弓のように曲がり
頭も腰も下がっていて
後ろ足はクロスしてしまい
ハーネスがないと歩けない状態でした。
調子が悪い日は夜寝なかったり
狭いところに入り込んだりと
認知症のような症状も出ていました。
まずは
1週間に1度鍼灸治療に通ってもらい
自宅では棒灸をしてもらうほかに
マコモを飲んでもらい
療法食を減らして
手作りご飯による
食事療法も取り入れていただきました。
すると
1回の鍼灸治療で食欲が出てきました!
そして
お肉などのたんぱく質を取りすぎると
黄疸が出ていたのが
豚肉を食べても黄疸が出なくなりました。
1ヶ月後からは
補助なしでも歩けるようになったので
治療間隔を2週間に1度にしました。
その後は雨の日にウロウロして
落ち着かなかったり
後肢がピクピクけいれんしたりする
症状がでてきたので
漢方薬も併せて処方するようにしました。
すると調子も安定し
体重も1.6kgから1.9kgに増えました!
ヒーセくんのように
ずっと「肝」の病を抱えていたコの場合
「肝」のお母さんにあたる「腎」が
子供の看病疲れで弱くなりやすいのです。
そのため14歳という年齢で下半身が
弱くなってしまった可能性が考えられます。
またその逆に
「腎」というのは生まれつき
両親からもらった
エネルギーを蓄えておくところ
なので加齢とともに誰もが弱くなって
いくところです。
今まで
「肝」を支えたり制御していた「腎」が
高齢になって弱ってくると
「肝」が暴走することがあります。
これが
イライラや夜鳴き
不眠症
てんかん発作の原因になります。
最後は少し難しいお話になりましたが
カウンセリングの時に
飼い主さんに説明することが多い
つまり「肝と腎」の問題を抱えているコが
非常に多いので
少しだけお話させていただきました。
シニア犬・老犬にとっては
冬に引き続き春も
しっかりとケアしてあげたい季節です。
それではハッピードッグライフ☆