しっかりものだからこそ「肝」が
今回は約4年前から定期的にキュティアに通ってくれているチワワとヨーキーのミックス犬 ディーンくんをご紹介します。
14歳のディーンくんには9歳と7歳の妹がいます。ディーンくんはとても面倒見の良いお兄ちゃん犬で、妹たちがいたずらをすると注意をして教育したり、飼い主さんがいたずらをしかると仲裁に入ったりするとても賢いコです。
そんなしっかりもののディーンくんですが、すごく慎重で警戒心が強く、音に敏感で常に周りをよく観察するコでした。このような性格のコは体が様々なストレスを受けやすく「肝」が疲れやすいのです。
疲れは「腎」にも
「肝」は免疫の調節にも関わっているため、ディーンくんは昔からアレルギー性皮膚炎を繰り返していました。アポキルという痒み止めの薬を毎日服用し、トリミングサロンで定期的に薬用シャンプーで洗ってもらっていました。症状がひどい場合にはステロイド系の軟膏を使ったりもしていたそうです。
10歳の時にドッグドックで変形性脊椎症が見つかり、翌年2018年3月頃から跛行やナックリングなどの歩行障害が出てきてしまいました。ストレスを受けやすく「肝」が疲れていると、母子関係で母にあたる「腎」も段々と疲れてきてしまい、足腰のトラブルが出てきてしまうのです。
その後症状は悪化していき、トリミング中に立っていられなくなってしまいました。消炎鎮痛剤やビタミンB剤を服用してもあまり効果はなく、痛み止めは副作用もあり長期間続けたくないとのことで6月にキュティアへ来院されました。
初診でも鍼灸治療は嫌がらず
初診時、深部痛覚はあるものの右後肢の神経反射は消失(ナックリング)していて、膝も硬直していて曲げられず、ロボット様歩行をしていました。脉も細く硬く、めぐりの悪い状態でした。
初対面の人が苦手で触られたりすることも注射も苦手なディーンくんでしたが、鍼灸の治療はおりこうにやらせてくれました。そして翌週の再診ではまだナックリングはありましたが、かなり動くようになりました!そして2回目の治療後には走ったりジャンプもできるようになり、神経反射も大分改善しました☆
鍼灸と整体を交互に
最初の1ヶ月間は週1回鍼灸治療を行い、その後は2週に1回のペースへ減らし、鍼灸と整体を交互に毎週行うことになりました。最初の頃は緊張していたディーンくんですが、今では自分から「お灸して下さい」とマットでフセをし、気持ち良さそうに治療を受けています。
ずっと毎週ケアをしている効果もあり、アレルギー性皮膚炎の症状はほとんど出なくなり、痒み止めの薬を飲む必要はなくなりました。また、お腹が弱く、よく便がゆるくなっていたのですがそれもなくなり、時々ゆるくなっても漢方を飲ませると1日で治るようになりました。
東洋医学で定期的なケア
昨年は頚部の痛みから食欲が落ちてしまったり、気管の弱りから咳が出てしまったりといったトラブルもおきましたが、その都度治療頻度を増やしたり、漢方を調整したりすることで症状も改善し、とても元気に過ごせています。
このように定期的にケアしてあげることで、体質改善だけでなく、季節性の変化や加齢性の変化にも対応していけるからだづくりをしていくことができるのも東洋医学の良いところだと思います。
これからも元気に歳を重ねていきましょう!
それではハッピードックライフ♪
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