Vol.111

犬の認知症は老衰ではありません

公開日:2020.01.23  / 最終更新日:2020.06.12
認知症のマルチーズ

犬も12歳を超えたころから認知症が発生することは随分と知られるようになってきました。ただ、「認知症=老衰」ととらえてしまう飼い主さんはまだまだ多いようです。

認知症は脳の衰えによっておこる老化現象の一つにすぎません。身体が元気で、適切なケアを続けていけば楽しく暮らしていくことも可能です。

東洋医学的には加齢による五行の「腎」の衰え

今回はそんな頑張っている仲間の一匹、マルちゃんを紹介させていただきます。

シーズーのマルちゃんがキュティアを訪れたのは2015年10月のこと。12歳になり角膜潰瘍を繰り返すようになってしまったので、こまめな点眼治療を行うため、平日に入院する生活をはじめたところ夜鳴きをするようになってしまったので来院されました。

認知症の症状は、東洋医学的には加齢によって五行の「腎」が衰えてしまったことで、「肝」の熱をコントロールできなくなってしまうことで起こります。

マルちゃんは、加齢の他繰り返される点眼治療と入院生活によるストレスが「肝鬱」となって熱をより強めてしまたことも認知症の原因となってしまったと考えられました。

鍼灸治療に加え漢方薬と整体

そこで、鍼灸治療とストレスによる「肝」の熱を緩和する漢方薬を併用する治療を開始したところ少しづつ夜鳴きが改善していきました。通院開始から1年程たったころからは後肢の衰えをケアするために整体の治療も追加し、2~3週に1度のペースで頑張って通ってくれています。

16歳を過ぎてからは腎臓や心臓の弱りも目立ち始め、緩やかに衰えていっていますが、昼間預かって相手をしてくださるおばあちゃんの協力などもあり、マイペースな生活を送っています。

4月の17歳を目指してこれからも頑張りましょう~!

それではハッピードッグライフ♪

2020/01/23 更新
キュティア老犬クリニック
獣医師 横山恵理
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