てんかん発作に要注意
立春を過ぎた2月頃から起こりやすくなるてんかん発作。肝の調子が悪くなる春に起きやすいのですが、季節の変わり目や梅雨前線、台風など気圧の低下も要注意です。
てんかん発作には水頭症や脳炎、腫瘍、外傷などの原因疾患を伴う症候性てんかんと、脳に何ら異常を伴わない特発性てんかんとがありますが、てんかん発作のほとんどが特発性てんかんです。
特発性てんかんは、恐れや怒り、ストレスによって心肝の気が鬱して熱となり頭部に上って発病したり、脾(胃腸)が虚して湿が生じ、気が鬱して熱となり、そして湿が煮詰まった痰邪が逆上して頭の気が乱れて発病したりします。
カトルくんの場合
てんかん発作は若いコからお年寄りのコまで様々な年齢のコで見られます。6歳の時に初めててんかん発作を起こしたトイプードルのカトルくんもそのひとり。
カトルくんは2019年11月にけいれん、意識消失1分間位のてんかん発作を突然起こしました。念のためエクセミドというお薬を3週間服したのですが、副作用でぼーっとしてしまったり、動きが鈍くなり、まるで認知症にでもなってしまったかのようだったそう。
お薬を飲み終えて1ヶ月後の12月に再び発作が起きてしまい、お薬を再開しました。そしてその翌月にはお薬を飲んでいるのにも関わらず、再び発作が起きてしまいイーケプラというお薬が追加になりました。
なぜ発作を起こすのでしょう
薬の副作用でぼーっとしてしまうのが心配で、このままずっとお薬を飲んでいて良いのか不安になり、キュティアへ来院されました。
初診時は肝、脾、腎のツボの圧痛があり、疲れているようでした。元々お腹が弱く時々便がゆるくなったり、食欲にもムラがあり好き嫌いもありました。カトルくんはまさに脾虚により湿が溜まっている状態でした。先述したてんかんの原因の1つです。
また少し神経質なところがあり、お留守番などちょっとした環境の変化がストレスになってしまうという点も発作を起こす引き金になっていました。そして、発作を起こすタイミングを見てみると、ストレスがかかった時の他にも満月、新月の時に発作が出やすいということがわかりました。
鍼灸治療と漢方薬の効果で
そこで2週間に1度の鍼灸治療と合わせて漢方薬も飲んでいただきました。また、薬膳ごはん(主にローリエの葉と昆布だしでゆでた豚肉ともやしなど)をトッピングしていただき、湿のたまる原因になりやすいドライフードを少し減らしていただきました。
食ムラのあるカトルくんでしたが、3回目の診察時にはお腹の調子もよくなり食欲もでてきて、漢方薬もしっかりと飲めるようになりました。
時々お腹がキュルキュルしてしまったり、軽い発作がでることもありましたが、漢方薬や薬膳ごはんを季節によって少しずつ変えたりしているおかげか、ここ最近は発作もなくとても元気に過ごしているカトルくん。食欲のないコだったのがウソのように今はごはんをモリモリ美味しく食べていて、太り過ぎを注意されるほどです。
まだまだ若いので、これからも持病とうまくつき合っていきながら元気に過ごしてくれたらうれしいです。
それではハッピードッグライフ♪
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獣医師 佐々木彩子