Vol.93

eコッカー18才ただいま介護中

公開日:2018.07.20  / 最終更新日:2025.02.02
18歳のeコッカースパニエル

エアコンは必要だけど

今年の梅雨明けは例年より早く蒸し暑い日が続いていますね。キュティアに通われているわんちゃん達も、のぼせの症状が出ているコが非常に多いです。クーラーで腰は冷えているのにハァハァが止まらなかったり、なぜか涼しくなってきた夜中にハァハァし始めたりと・・・・・。

実は東洋医学的に肝と腎が関係

クーラーで腰=腎を冷やしてしまうと、腎の気をおろす働きや鎮静作用が弱まり気が上昇しやすくなります。また夜中にハァハァし始めるのは夜中の1時が肝の気が上昇しやすい時間だからです。

エアコンで除湿をして部屋を涼しくし熱中症対策をすることも大切ですが、特に老犬の場合は腹巻をして腰を冷やさないこと、また棒灸であたためてあげるなどのケアが大切です。

まだまだこれからが夏本番!乗り越えて行きましょう。

18歳のeコッカースパニエル

さて今回は先日18歳のお誕生日を迎えたイングリッシュ・コッカースパニエルのキャリーちゃんのご紹介です。キャリーちゃんがキュティアに初めて来院したのは約2年前の16歳の時。

様々な症状が現れて

16歳になってからお腹が弱くなりすぐに下痢をしてしまうようになりました。また昼夜逆転や徘徊など認知症の症状も出始めていました。

後ろ足の動きも徐々に悪くなってきていたようで、初診時は首と腰が下がり背中を丸め前かがみになったかなりの背弯姿勢でした。

週1回から2週間に1回ほどのペースで鍼灸治療を行い体調は比較的安定していたのですが、昨年の1月末に前庭疾患を患い首が上げられなくなり自力での歩行が難しくなりました。

そこで車イスを購入していただきました。車イスに乗せてあげると傾きはあるものの上手に歩きました。

17歳になる少し前頃から一人でお留守番をさせるのが心配と、飼い主さんがお仕事の日には週に2・3回キュティアのデイケアでお預かりするようになりました。

その後約半年の間に徐々に車イスでもうまく歩けなくなり、そのせいか吠えてしまうことも多く興奮が治まらないこともしばしば。

老犬介護eコッカースパニエル

飼い主さんは介護に専念

飼い主さんも意を決してお仕事をやめられキャリーちゃんの介護に専念することにしました。

1日4回の食事、排泄の介助、起きている時には車イスに乗せて少し動かしてあげて・・・・、の繰り返しの日々。特にキャリーちゃんは起きている時には吠えていることがほとんどだそうです。

つきっきりでみているため、近所に買い物へ行く時間どころか自分達のごはんを作る余裕すらない時もあるようです。週末はご主人に協力してもらい息抜きに外出しているようですが、

平日は下手したら
「今週誰かと会話したの先生たちが初めてかも」
なんて鍼灸治療中におっしゃいます。

キャリーちゃん本当に愛されているな~とつくづく感じます。

飼い主さんもストレス発散が大事

でも老犬の介護はきれいごとばかり言ってはいられません。

「この前もあまりにも寝ないでずっと鳴いてるからイライラして怒っちゃって、でも怒ると余計に興奮しちゃって怒ってもダメなんですよね。わかってるけどイライラする~!」

とお話してくれました。

人間ですから疲れればイライラするのも当然です。愛するがゆえにイライラすることもあります。介護は本当に大変です。ワンオペでは限界があります。周囲の人や動物病院に協力してもらい息抜きの時間を作ったり、悩みを聞いてもらいましょう。飼い主さんのストレス発散もとても大事です。飼い主さんあっての介護ですから。

5月末で18歳になったキャリーちゃん。これからも大好きな飼い主さんと1日1日を大切に過ごしていきましょう。

それではハッピードッグライフ♪

キュティア老犬クリニック
獣医師 佐々木 彩子
  • 獣医師コラムトップページへ