Vol.108

台風がもたらす「肝風」って?

公開日:2019.10.25  / 最終更新日:2019.12.25

全国に大きな爪痕を残した台風19号。

ワンコ達の体への影響も
例外ではありませんでした。

通常の台風でも
上陸2・3日程前から様々な
不調が表れるのですが

今回の19号では
1週間近く前から沢山のコ達に
影響現れたのでした。

その中でも
キュティアで特に警戒しているのは
東洋医学で「肝風(かんふう)」
と呼んでいる

癲癇(てんかん)や前庭疾患の
ようなめまい・痙攣を伴う病気です。

「肝風」は
気が上半身にばかり集まってしまう
のぼせの状態がさらに悪化する
ことで起こる症状です。

台風やゲリラ豪雨といった
大きな気圧の低下が起こる際
空気はどんどん上昇していくのですが

その時に体の中の「氣」もつられて
上昇してしまうため

もともとのぼせの症状を抱えている場合
その病態が一気に悪化してしまうのです。

そのため
台風前に来院された患者さんには
漢方やお灸など
おうちでのケアを
いつもより念入りに行ってもらうよう
お話させていただきました。

今回はそんな中で
頑張っている仲間の一匹を紹介します。

はなちゃんは16歳の黒柴の女の子。

3年前の8月痙攣発作をおこした後
脳の損傷による障害が残ってしまった為
にキュティアに訪れました。

飼い主さんに抱かれたはなちゃんは
脳の障害のためかぼんやりとしていて

上手く身体の力が抜けずに
背中が丸まってしまっていました。

抗てんかん薬を服用しているものの
強い刺激がきっかけとなって
発作が起きるかもしれないから
という飼い主さんの軌道により

刺さない鍼・ダイオード鍼と
お灸による施術とマコモ

おうちでの棒灸やリハビリの
甲斐あってお散歩も
楽しめるようになりました♪

その後1年程
発作を最低限に抑えるべく
通院していたのですが

2年前の10月
台風による体の負担により
急性膵炎になってしまたっため

かかりつけでの治療に専念する為
しばらくの間
鍼灸はお休みすることになりました。

しかし1年ほどたったころ

車いすでも歩くことができなくなり
西洋医学の治療だけでは
てんかん発作をコントロールすることが
できなくなってしまった為

今度は通常の鍼での鍼灸治療を
再開することとなりました。

このころには認知症も進行し
長く車に乗ることも負担になるため
2週間に1度往診を
再開することになりました。

かかりつけの先生に

「病院に入院しているより
 お家にいたほうが
 いい状態をたもてる」

といわれるほど

こまめに完ぺきなお世話をしてくれる
飼い主さん一家。

はなちゃんのちょっとした信号も
見逃さずに受け止めてくれるので

歩くことができず
時折体調に波があるものの

はなちゃんはとても満ち足りた
いいお顔をして過ごせています。

今回の台風でも
5日ほど前にてんかん発作の前兆となる
チックや眼振が現れましたが

飼い主さんの迅速な対応のおかげで
発作を起こすことなく
過ごすことができました。

今年も何とか苦手な季節を乗り越え
もうすぐ17歳のお誕生日を
迎えるはなちゃん

これからも一緒に頑張りましょう!

それではハッピードッグライフ♪

獣医師 横山恵理

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