Vol.96

ヘルニアのダックス安静期間は?

公開日:2018.10.19  / 最終更新日:2023.06.28

9月は過ぎてみればほとんどが雨で、晴れたのはほんの数日だったようです。台風や前線の影響で調子の悪いコもいました。10月に入り朝晩は冷えるようになり、徐々に身体は「冬」へと向かって変化しています。老齢犬の中にはもう身体が冷えてしまっているコもいます。そろそろ腹巻きをしたり、棒灸であたためてあげるなどの冷え対策を始めましょう。

突然ヘルニアに

さて今月の登場はミニチュアダックス17歳の男のコ、クーくんです。クーくんがキュティアに来たのはちょうど2年前の10月末当時は15歳でした。以前から時々腰の痛みはあるものの、大きな病気もなく元気食欲もばっちりだったそう。

ところが初診の2週間前に突然、排泄時に左後肢がダランと麻痺してしまいました。かかりつけ医へ駆けつけたところ、ヘルニアのため場合によっては手術が必要かもしれないと言われたそうです。

高齢のため手術が心配なのと、去勢手術の入院の時も声がかれるほど鳴いていたこともあって、なるべく入院せずに治したいとキュティアへ来院されたのでした。診ると左後肢が麻痺していたのと少し痛みがあり、「おけつ」もたまっている様子でした。

1週間後には歩いてる!

治療を終え、
「麻痺が治るまでは1週間に1回
 通ってくださいね」

とお話しした翌週のこと、クーくんの足を見ると

「あれ!歩いてる!」

「そうなんです!
 先生に言われた通り
 ケージレストをやめて歩かせたら
 徐々に歩き始めたんです☆☆」と!

シニア犬の安静期間は1週間

ヘルニア=1~2ヶ月絶対安静!と言われてしまうことも多いのですが、老犬の場合1ヶ月も安静にしていたら関節がこわばり、筋肉も衰えて歩けなくなってしまいます。

キュティアでは安静にするのは痛みが出てから、1週間だけで良いとお話しています。そこからはゆっくり無理のないペースで歩行できる場合は、滑らない場所で動いてもらっています。くーくんにも同じことをお話しました。

1回で麻痺が改善したのでその後は、2週間に1回1ヶ月に1回と、治療間隔を空けていきました。今も健康維持と未病のため継続して通院してくださっています。

不安を取り除いてあげる

一時すごく怒りっぽくなり、咬むようになってしまったり、夜中に起きてしまったりと認知症の症状が出てきました。試しにDHAやEPAのサプリメントを飲んでもらったところ、イライラしなくなりました。夜はお母さんと一緒にリビングで寝るようになったら鳴かなくなったそうです。

このように家族の愛情と、ちょっとした工夫で症状が改善することもあります。シニアになると不安になりやすくなります。

どうぞそっと寄り添ってあげてくださいね。

それではハッピードッグライフ♪

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キュティア老犬クリニック
獣医師 佐々木 彩子
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