Vol.103

犬も梅雨の湿邪(しつじゃ)に備える

公開日:2019.05.25  / 最終更新日:2023.05.31
5月から新しい時代がスタートしましたね。まだまだ実感がなくつい日付を「平成31年」と書きそうになってしまいます。長い長いゴールデンウイーク、皆さんいかがお過ごしでしたか?

梅雨に弱い愛犬

ちょうどGWを境に外気も変わり、少しずつですが梅雨の湿邪(しつじゃ)が体に入ってきているワンちゃんを見かけます。沖縄は梅雨入りしましたね。関東は晴れて心地の良い日が多いですが、梅雨はすぐそばまできています。

湿気にとても弱く、梅雨にいつも体調を崩していたミニチュアシュナウザーの女の子メイプルちゃん。GWに入りちょっと体調がおかしいかもと思い始めた時に軽井沢へお出かけをしたら、横浜よりも湿度が低かったようで元気を取り戻したようです。

「あのまま横浜にいたらあぶなかった~」

と飼い主さんがおっしゃっていました。

湿邪はトラブルのもと

GW明けに診察した時には、やはり湿気が体の中に少し入り込んで気の流れが悪くなっている様子でした。湿邪は「湿はしつこい」と言われていて、なかなか体の外へ出て行ってくれません。また湿は重いので、巡りも悪くなってしまいますし身体も冷えやすくなります。

そして胃腸、東洋医学で言うところの「脾」にものすごくダメージを与えます。「肝」の気と一緒になって頭の方へ上がってしまうと、てんかん発作や前庭疾患などの症状が重くなります。

また皮膚に溜まれば皮膚がベタベタしたり、関節に溜まれば足が重だるくなってしまう。など様々な症状を引き起こします。かなりの厄介ものです。

身近な湿気対策

今の季節はまだ湿気でめぐりが悪くなっている程度のコたちが多いので、気を動かす働きのある柑橘系の皮を干ししたもの(陳皮)がおすすめですがちょっと手に入りにくいですよね。

そのような時は、米麹も気を動かす働きがあり胃腸にも優しいので、手作りの甘酒なんかが良いと思います。

もう少し湿度が高くなってきたら、利尿去湿作用のあるハトムギ茶やトウモロコシのヒゲ茶がおすすめです。いつも食べているフードやごはんにかけてもらうと、嫌がらずに食べてくれるコが多いです。お肉をゆでる時にお茶で煮てもらうのでもOKです。

野菜では冬瓜がとても利湿作用があります。湿気と一緒に熱がこもっているようなら、きゅうり・大根・セロリ・豆腐もおすすめです。

これらの食材を使うのが難しい場合は、湿気のたまる原因である炭水化物(ドライフード)を減らしてもらい、お肉や野菜のトッピングを増やしていただくと良いと思います。

湿度を下げるためにエアコンの除湿ドライをつけると体が冷えて、さらにめぐりが悪くなってしまいます。腹巻をして腰とお腹を冷やさないようにしましょう。冷えてしまたら棒灸などであたためてあげてくださいね。

まだまだこれからが梅雨本番です。しっかりと梅雨対策していきましょう。

それではハッピードッグライフ♪

キュティア老犬クリニック
獣医師 佐々木 彩子
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