Vol.100

膵炎や髄膜炎に負けないボーダーコリー

公開日:2019.02.21  / 最終更新日:2023.05.02
膵炎や髄膜炎に負けないボーダーコリー

「ようやく寒くなってきたな~」、と思っていたはずですがふと気が付くと春の気配が。そうなると出てくるのが花粉症。

花粉症の季節になると

東洋医学で花粉症は「湿熱」の症状ととらえます。食生活や体質から溜まってしまった「脾の湿」に春の季節に強まる「肝の熱」が合わさってでてくるのです。

・目のかゆみが強い場合は「肝」の弱り
・皮膚トラブルとして出る場合は「脾」の弱り
・鼻水が出る場合は湿熱が「肺」に伝わってしまった

時により強く出ます

先月も触れましたが、この冬は熱を冷ますための「腎の陰気」をしっかりと養えなかったようです。花粉の飛散量が多いわけでもないのに今年花粉症デビューしてしまったわんちゃんがちらほら出てきています。

湿熱のうちの

「脾の湿」は糖質・炭水化物の摂取
「肝の熱」は交感神経が優位になる

ことで強まります。

花粉症の方は今からでも砂糖やカフェインを控えるよう気を付けてみてくださいね。わんちゃんの場合はなるべく炭水化物の割合の少ないフードを選ぶようにしてください。

ボーダーコリーは「肝の熱」が溜まりやすい

今回は同じ湿熱の症状の一つ膵炎の症状が鍼灸治療と漢方で改善したわんちゃんをご紹介いたします。

16歳のボーダーコリーの女の子、ドゥカティちゃんが初めてキュティアにやってきたのは3年前の3月。仔犬の時からIBDで下痢・血便を繰り返していたのは手作りご飯とサプリで改善したものの、春先~夏にかけては膵炎による頻回の嘔吐が収まらず長年の悩みの種でした。

そして、2014年の秋に髄膜炎を起こし立てなくなってしまいました。半年間のステロイド投与で髄膜炎は改善はしました。ところが後肢や聴覚が弱ってしまったこととステロイドを減薬したことで、嘔吐が悪化してしまったことから相談にこられました。

とても賢いためにストレスをため込みやすく、神経質なところのあるボーダーコリーは「肝の熱」が溜まりやすい犬種です。ドゥカティちゃんを悩ませていた症状も「肝の熱」が原因で
・IBDは熱が大腸を犯したことで
・膵炎は熱が脾の湿と合わさってしまったこと
・髄膜炎は熱が腎を損傷してしまったこと

で生じた症状となります。

そこで湿熱対策の鍼灸治療に肝の熱を下げる漢方薬、肝の疏泄(そせつ:血と気の巡りの調整)を促して脾気を強めるマコモで治療を開始したところ、毎週のようにウプウプと気持ち悪くなっていたのがぴたりと止まりました。加えて後ろ足も以前よりスムーズに動くようになりました。

その後も週に1・2回の頻度で通ってくれているドゥカティちゃん。加齢に伴う体力の衰えもあり今はお灸メインの施術をしています。でも自分の足でお散歩を続けることができ、いまだにツヤツヤと黒い被毛を維持したまま過ごしています。

それではハッピードッグライフ☆

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キュティア老犬クリニック
  獣医師 横山恵理
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