脊髄空洞症ってどんな病気?
脊髄空洞症という病気を聞いたことはありますでしょうか? 脊髄は脳と身体との神経伝達を行っている神経の束です。何らかの原因で脊髄内に空洞が生じ、脳脊髄液が流れて脊髄が圧迫されてしまうのが脊髄空洞症という病気です。
脊髄空洞症の原因の多くは先天性の奇形と言われていて、日本ではキャバリアやトイプードル、ヨーキー、チワワなどの小型犬に見られます。腫瘍や外傷によって後天的に発症する可能性もあります。
空洞の部位や広がり方によって症状はまちまちで、MRI検査をしないと確定診断ができないため、症状から「脊髄空洞症疑い」といった診断で来院されることもあります。
よく見られる症状としては
・頚部を異常に掻く
・身体(特に首から肩)を触られるのを嫌がる
・足をよくなめる、足先を触ると過敏に反応する
・跛行する
・音や振動に敏感になる
などがあります。
落ち着かずにウロウロしたりする小発作が出ることもあります。進行すると四肢の不全麻痺が起きたり、首が傾いてしまう斜頚やけいれんを起こすようになることもあります。また、脳脊髄液が満ちることで脳圧が上がってしまうとめまいや吐き気がしたり、痛みが出ることもあります。
7歳の時にMRI検査で
マフィンちゃんは小柄(体重2.4kg)で怖がりな性格で音にも敏感で、頚のあたりをよく掻いていたようです。2歳頃には症状が悪化していって、痛みのせいかびくびくしながら歩くこともあったようです。その後7歳の時に手足の不全麻痺が起き、MRI検査をしたところ脊髄空洞症と水頭症が見つかりました。
幸い水頭症によるけいれん発作や行動異常、意識障害などの症状は見られていませんが、脳圧を下げるために利尿剤とステロイドの投薬が始まりました。投薬のおかげもあり、ひどい痛みはなく、ナックリング(手足の甲を擦って歩いてしまう)したり、フローリングで滑ってしまったりするものの元気に過ごしていました。
鍼灸治療や漢方薬を取り入れる
そして、足の動きが改善して身体が少しでも楽になればとキュティアに来院されました。初診時は頚が下がって背弯姿勢で、右前肢のナックリングが見られ、かばって歩いているため肩周りも足腰もパンパンに張っていました。脉はとても細く硬く、ギターの弦のようでした。とても肝が疲れていたのでしょう。
小柄ということもあり、生まれながらに腎虚のためお灸でしっかりと補腎も行いました。すると下がっていた頚と腰が上がり、硬かった体もやわらかくなりました。
その後もずっと2週から3週に1回のペースで鍼灸治療を続けて3年以上になるマフィンちゃん。お天気によってハァハァしてしまったり、のどの筋肉の衰えから飲み込む力が弱くなり喉をつまらせてしまったりすることも時々でてきました。
お家でのケアが奏効
その都度漢方を飲んでもらったり、お家でお灸をしてもらったり、季節の薬膳レシピを取り入れてもらったり、マコモの足湯に入ったり(もちろんマコモも飲んでます!)
ママにたっぷりとお家ケアをしてもらっているおかげで11歳になった今もめまいやけいれん発作などはなく元気に過ごしています!季節の変わり目で急に寒くなったり、台風による気圧変動もあるためか、ここ数日また右前肢の動きが悪くなってきてしまいました。
そのため、五苓散(ごれいさん)という身体のむくみをとってくれてめぐりをよくすることで、脳圧を下げるのを助けてくれる漢方薬を追加で飲んでいただいています。
また元気にお散歩で歩けるようケアしながら頑張りましょう!
それではハッピードックライフ♪
獣医師 佐々木彩子