Vol.101

ミニチュアピンジャーの四肢麻痺治療

公開日:2019.03.24

皆さま こんにちは♪
獣医師の佐々木彩子です。

あたたかな春の陽射しに包まれ
桜のつぼみもふっくらとしてきましたね。

それと同時に花粉症の方に
とっては辛い季節です。

とくに今年は冬に季候のせいで
身体の「陰」が不足し
アレルギー症状が強く出てしまう
傾向にあります。

わんちゃんの中にも
今年花粉症デビューしたコ
がちらほら・・・。

昆布だしや棗(ナツメ)を
煮出したお水をごはんにかけて
「陰」を補うようにしましょう。

さて今月は
突然四肢の麻痺を起こした
15歳のミニチュアピンシャーの
モントくんのお話です。

モントくんは高齢ということもあって
後肢がフラついたり
排泄がふんばれないといった症状があり
半年前からステロイドを
1日おきに飲んでいました。

昨年10月
突然他のわんちゃんに向かって吠えて
急に走ったら後肢がヨタヨタになっ
て立てなくなってしまいました。

ステロイドを1日1回へ増やし
他院にて鍼灸治療を行うも
改善が見られず

キュティアへ来院されたのは
発症から1ヶ月半後の
11月末のことでした。

四肢の神経反射は見られず
足先は冷たくなっていました。

頚から背中にかけて
ものすごく痛みがあり
少し触れるだけで怒っていました。

痛みからくるストレスが
ものすごく大きかったので
まずはストレスを取り除く
治療から始めました。

最初はお母さんに
抱っこして顔を抑えてもらい
ながらの治療でしたが
お灸をしてあげると緊張が緩み
とてもリラックスしてくれました。

本来
四肢麻痺のコは最初のうちは週2回位の
ペースで治療した方がいいのですが

モントくんは通院に電車で2時間ほど
かかってしまいます。

なので最初の1ヶ月だけ
頑張って週に1回通っていただき
漢方を飲んで自宅で
お灸をしていただくことにしました。

それと同時に
なるべく早く車イスを作っていただく
ようにお願いしました。

とにかく歩けない
ストレスがものすごかったので

車イスで立つだけでも
ストレス発散になりますし
リハビリにもなるからです。

1週間後の治療ではまだ
頚のあたりの痛みが強かったのですが

初診の時と違い
最初からリラックスしてくれていました。
背中の痛みもかなり改善されていました。

3週間後には
車イスで傾きながらも
足を動かそうとするようになり

4週間後には車イスが
上手になってきました。

だんだんと前肢のふんばる力が
ついてきたので
自分の足で立つ時間も作って
もらうようにしてもらいました。

そして驚いたのは
お正月休み明けのことでした。

なんと1回だけ自分で立ち上がり
数メートル歩いたというのです!

診察をしてみると
前足の神経反射は正常になっていました。

後ろ足はまだ麻痺していましたが
あと一歩というところまで
改善していました。

そしてその2週間後に
来院された時には
自分で立ち上がり歩いているのです!

後肢の神経反射も改善されていて
15歳の高齢犬なのに
この回復力はすごいです!

その回復の秘訣は
食欲が旺盛だったこと(笑)

おやつが食べたいから
車イスで頑張っておやつまで歩こうとし

車イスからおろし自分で立たせても
何とかおやつまで歩こうという
モントくんの気持ちが
病気を治してくれました。

鍼灸治療と漢方薬は
ほんの少しそのお手伝いをしただけです。

モントくん
最期の時まで自分の足で
立って歩けるといいですね♪

それではハッピードッグライフ☆

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