キュティアを訪れるわんちゃんたちには必ずと言っていいほど取り入れていただいている「温活」。その中でも、手軽に取り入れられて、絶大な効果を発揮してくれているのが「腹巻」です。
腹巻が良いワケは
加齢によるトラブルは「腎」の弱りから
東洋医学では、五行の「水」にあたる「腎」は、両親から授かった生命活動の源である先天の精を蔵すると考えられています。これは、日本でよく耳にする「命のろうそく」のようなものであり、年を重ねていくごとに少しずつ消耗していってしまいます。
それにともなって、「腎」のツボのあるあばら骨より少し後ろ側から下に「氣」を送る力が足りなくなり、下半身が弱ることで後肢の弱りや泌尿器トラブルや下痢が起こってしまいます。
また、下に降りることができずに籠ってしまった「氣」が、顔から上の皮膚炎や眼科疾患、脳疾患、嘔吐、咳といった上半身の熱トラブルをも誘発してしまいます。
暖めることで「腎」を元気に
「氣」には温煦(おんく)作用といって身体を温める作用があるため、「氣」が行きわたらない下半身は冷えがちになってしまします。そこで登場するのが「腹巻」です。「腎」のツボは腰側にあるのですが、裏側にあたるおへそ周りが冷えてしまっては腰も一緒に冷えてしまいます。
そのため、お腹部分が開いてしまっている犬のお洋服では温活には不十分。腹巻を組み合わせることで下半身をしっかり暖めることができるようになるのです。そうして「熱=氣」が充実することで、「腎」を元気にすることができるのです。
犬だって腹巻
近年、人間で腹巻の効果が見直されつつあるため、通販で犬用の腹巻もチラホラ売られるようになってきています。また、人間用の温活グッズを流用するのも良いでしょう。小型犬ならレッグウォーマーを半分に切ったもの、中型犬なら赤ちゃん用腹巻やネックウォーマー、大型犬は大人の女性用腹巻きでもそのまま使えます。
腹巻でご機嫌のトイプードル
16歳のトープードル、はるちゃんはとても冷え性で仔犬の時からお腹の調子が不安定だったそう。4年前からキュティアに通い始め、お腹を温める漢方薬やお洋服の重ね着など、様々な対策を行ってきましたが、気温が不安定になる季節にはどうしても調子が落ちて朝ごはんが食べられない日が出てきてしまっていました。
そんな日があった後の来院時は背中がギュッと丸まり、首や腰も硬く緊張してしまっているのでした。テラヘルツという素材のお洋服を取り入れるようになって少し体調が安定するようになりましたが、そこに腹巻を重ね着するようになってからはさらにパワーUP!歯周病からくる顎の骨折や腎不全などのトラブルが起こっても、しっかりと立ち直ることができるようになったのでした。
月一回の鍼灸施術の際には同居の娘犬よりも元気な様子を見せることもあるハルちゃん。腹巻パワーでこれからも楽しく老犬ライフを過ごしていきましょう。
小型犬は若くても腹巻必須
トイプードルやミニチュアダックス、チワワ、パピヨン等、もともとが小柄な犬種ですが、近年はさらに小型化が進み、大人になっても1・2kgほどなんてコも少なくありません。東洋医学では、身体が大きく成長できないというのも「先天の精が少ない=腎が弱い」とされ、若くても下半身に氣が行きわたりにくいと考えます。
そういったコにも腹巻はぴったり!若いコは少し補うだけでも効果がでやすいので、お灸や漢方などの補助がなくても腹巻だけでもあっさりとトラブルが解決してしまうことが少なくありません。お試しあれ~。
それではハッピードッグライフ♪
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獣医師 横山恵理